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 世界で三番目に大きい島、ボルネオの北部は東マレーシア領。熱帯雨林のジャングルが限りなく続くこの地域は、近年、エコ・ツアーで欧米からの観光客を呼んでいる。
 北東部の都市サンダカンからデコボコ道に揺られて約二時間の奥地スカウ村もその一つ。ここでは十年前に建ったロッジを拠点に、ジャングルツアーが組まれている。
 
ロッジは徹底して環境に配慮したエコハウスで、客室はわずか20室。エネルギーはソーラーによる自家発電でまかなっている。シャワーやトイレは川の水をろ過、調理には雨水をろ過して利用する。食器はツル細工にバナナの葉を敷いたもの。庭のライトや石鹸は食用油のカス。生ゴミはたい肥にし、ペットボトルは持ち帰る。テレビもラジオも置かず、自然の音だけに親しんでもらう。
 
環境に厳しく配慮しているが、不便などまったく感じない快適なロッジは、現地で旅行会社を経営する一民間人が、悪戦苦闘しながらも情熱を傾けて作り上げてきた。

熱帯ジャングルの大自然を満喫するだけではエコツアーとはいえない。環境を守るためにあらゆる努力を払い、地域の人々も巻き込んで、ともに発展して行くことがエコツーリズムの原点だ。
 エコ・ロッジ「レインフォレストロッジ」のオーナー、タオさんはこの課題多いエコツーリズムを悪戦苦闘しながら立ち上げてきた。
 
プランテーションもないような秘境スカウ村は、豊かな熱帯原生林が自然保護区に指定され、主にヨーロッパからの個人観光客が時折訪れる。
 その案内でこの地に足を運んでいたタオさんは、地域の原住民の貧しい暮らしに心を痛めていた。そこで、思いついたのがロッジ建設である。
 
ロッジができれば雇用も生まれ、地元に金が落ちる。また環境に配慮した施設なら“エコ“に敏感な欧米の客に受け入れられる。採算性は決して良くないが、使命感がタオさんを駆り立てた。それが「レインフォレストロッジ」である。
 
しかし思い通りには行かないものだ。竣功・オープンして間もなく、川の氾濫ですべてが冠水し、ロッジ運営は頓挫した。地元原住民との付合いも難しく、経済的自立や自然保護の理解などに時間を費やした。
 資金難ながらロッジはどうにか再建、地元民も根気よく説得し、仕事を作り、タオさんのエコへの孤軍奮闘の取り組みは続いた。
 
やがてロッジの存在や彼の活動は口コミで欧米に知られ、環境団体や観光業界からいくつもの表彰を受けるにいたった。
 
「エコツーリズムは、自然への感謝と環境汚染を最小限に抑えること」とタオさんはいうが、ビジネスというより草の根のNPO活動といっていい。
 
ツーリズムによる地域の活性化と環境保全という大きな目的に向かってひたすら歩み続けることが結果として周囲の理解と共感を得る近道だ。
 
「エコ」は時代のキーワード。その取り組みが企業の盛衰を左右するといわれるほど時代は変革している。日本にはタオさんはいないのだろうか。行政任せで不平不満のいい放題、足の引っ張りは「エゴ」。
 だとしたら「金もない、知恵もない、やる気もない」自治体はますます時代から取り残されていく。